「RDF意味論」の和訳を国立情報学研究所の私のホームページにアップしましたが,日本語で読んでもやっぱり難しいという方もきっといらっしゃると思い,和訳した「RDF意味論」を読むための連載記事をここに書きました.コメント,質問などを歓迎いたします.

2008年12月7日日曜日

「RDF意味論」を読むために 第2章

伴意を理解するためには,何よりもまず Russell と Norvig の人工知能教科書にある図(第2版では図7.6,第1版なら図6.5)を見てください.それによれば,文による表現の世界とそれが表示(denote)する世界があったときに,文 α の解釈 I(α) すなわち文 α が指し示すところのものが成立して,I(α) から文 β の解釈 I(β) が成立するときに,文 α は文 β を「伴意」する,というわけですね.RDF意味論の用語集ではこのように書いてあります.

「一番目が真」がいつでもその「二番目も真」であることを保証するような表現間の意味論的関係
「一番目の表現」が真で「二番目が偽」となることが論理的にいかなるときも不可能であること
「一番目」を充足するいかなる解釈も「二番目」を充足すること

何にしても,伴意というのはこちらがわの文と文との関係に用いられることで,あちらがわの解釈の世界と平行の関係にあるようです.論理において, x+y=3 が真ならば必ず x=3-y も真,みたいなどんな xy であっても成り立つものを恒真式(トートロジー)といいます.トートロジーでは xy が何であるか,すなわち解釈を考える必要が無い.一方で,どんな世界をもってきても成り立たない式もあります.で,こういう恒真式や恒偽式はあたりまえすぎて考える余地がない.「つまらん,おまえの言うことはつまらん」というわけです.興味があるのは, xy の解釈によって真になったり偽になったりする範囲です.それであるトリプル集合を考えたとき,そのある解釈 I が成り立つ(すべてのトリプルが真の)とき,その解釈 I はトリプル集合を充足するといいます.充足する解釈がある場合を充足可能といいます.

xy が自然数の世界を考えたとき, x+y=3 というのは充足可能ですね.この場合,xy の解釈として{<0, 3>, <1, 2>, <2, 1>, <3, 0>}の4個の解釈があります.

それで,あるトリプル集合を考えたとき,これを充足する解釈のすべてについて,もう一つの新しいトリプルも成立するときに,もとのトリプル集合は新しいトリプルを伴意する,と言います.

もし A が B を伴意するのなら,A を真とするどのような解釈も B を真とする.したがって,A の表明はすでに B の表明と同じ「意味」を含んでいる.

伴意はつまらなくないです.中には自明でつまらない (trivially true) ものもありますが,A と言ったら B と言ったことと同然だよ,というのは推論を進めていく上で重要な点です.後で出てくる各種伴意ルールによって我々は多くの利益を得ることができます.例えば,あるトリプルにおいて全く初出のエンティティがあったとしても,伴意ルールを用いてサブジェクトとオブジェクトに位置するURI は rdfs:Resource のインスタンスとすることができますし,プレディケイトに位置するURI は rdf:Property のインスタンスとすることができます.

第2章ではいくつかの基本的なレンマを提出していますが,その直前にちょっと理解しがたい文があります.

RDFにおける単純に正当な推論の二つの基礎式は,論理表現すれば (P and Q) からPを推論することと,foo(baz) から(exists (?x) foo(?x)) を推論することである.

これいずれも当たり前といえば当たり前ですよね.多分この二つの推論を使って以後のレンマを導いているということなのでしょう.あまり自信はありませんが・・・.

(P and Q) ⇒ P というのは論理の世界ではAND除去と呼ばれていますが(自明なことですが),サブグラフのレンマ(グラフはそのサブグラフをすべて伴意する)というのはAND除去そのものですね.第1章のところでトリプルの一つでも偽ならばグラフは成立しないと書きましたが,言い換えればトリプルはAND結合だということですね.foo(baz) ⇒ (exists (?x) foo(?x)) というのは,ラベルのついているノードをブランクノードにしてしまうことですから,インスタンスのレンマ(グラフはそのいかなるインスタンスによっても伴意される)ことなのでしょうね.さてそのほかのレンマにもこの二つの推論が含まれているのでしょうか?

ここまでのところでは,とくべつな語彙は何もありませんでした.次章からrdf語彙とかrdfs語彙を導入し,その語彙の解釈の仕方を決めて,rdf-解釈,rdfs-解釈に伴うrdf-伴意ルールやrdfs-伴意ルールが導入されます.

0 コメント:

読者

自己紹介